研究概要 |
新生児期においては、睡眠と覚醒は昼と夜の区別無く時間的に均等に分布している。その後、徐々に睡眠が夜間に集中し、乳児期に睡眠の概日リズムが顕著化する。幼児期になると夜間睡眠自体はほとんど変化しないが、昼間睡眠は顕著に変化する。1歳では午前と午後に1回ずつの昼寝が生じるが、2歳では午後に1回の昼寝をとるようになる。その後3歳〜5歳にかけて昼寝をとらない幼児の割合が増えていき、6歳までにはほとんどの子供が昼寝をとらなくなる。ところが、日本の保育所では、午後に平均90分の昼寝を課している。このため5歳の段階でも、保育園児は平日に平均90分の昼寝をとっており、このために、夜間睡眠の就床時刻が後退し、夜型の生活習慣が定着する結果となっている(Fukuda & Sakashita,2002)。さらに、この夜型化した生活習慣は、昼寝の習慣が終了した小学校入学以降も数年間継続することが明らかとなっている(Fhkuda & Asaoka,2004)。本研究は、活動量の連続記録装置を用いて、昼寝による生物リズムへの影響を客観的かつ詳細に検討することを目的とした。方法: 保育園児32名(男児17名)を対象として、金曜日の午前中から月曜日の午前中にかけて活動量の連続記録を行った。研究を行うにあたって、検査対象者の保護者には、研究の趣旨を説明した上で、承諾書に署名してもらった。活動量の連続記録にはActiwatch-Lを使用した。この保育園では、記録を行った時期には、年長児では昼寝を中止していた。結果: 平日の睡眠パターンをみると昼寝をとっていた年中児では入眠の時刻が約1時間後退していた。次に週末の両者の活動量パターンを検討した。週末には、保育園に通っていないため、年中児も殆ど自発的には昼寝をとることはない。週末の活動量のパターンに関しては年中児と年長児の間にほとんど差が認められなかった。
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