研究概要 |
本年度は、下記のような臨床的検討と基礎的検討を行った。 臨床的検討 酸化ストレスマーカであるチオレドキシン(thioredoxin : TRX)とアディポサイトカインであるアディポネクチンを閉塞型無呼吸(obstructive sleep apnea : OSA)患者で検討した。27名の重症OSA患者(年齢48.3[平均]±10.7[標準偏差]歳、BMI30.1±4.58kg/m2、1時間当たりの無呼吸低呼吸数(apnea and hypopnea index : AHI)48.2±14.8回/時)の持続気道陽圧(continuous positive airway pressure : CPAP)療法前と1ヵ月後に朝絶食採血を行い、12名の健常者と比較した。また14名の別のOSA患者はnCPAP治療前に2回採血を行った。OSA患者は健常者に比べTRXが有意に高く(p=0.002)、アディポネクチンが有意に低かった(p=0.002)。無治療にての1ヶ月間は有意な変化が認められなかったにもかかわらず、1ヶ月のnCPAP治療にてTRX(43.6±23.0ng/mLから33.3±20.8ng/mL, p=0.02)は有意に減少し、アディポネクチン(3.55±1.37・g/mLから3.79±1.14・g/mL, p=0.008)は有意に増加した。TRXはAHIと正の相関(p=0.002)がみられ、アディポネクチンはAHIと負の相関(p=0.004)が認められた。アディポネクチンはBMIと有意に相関したが(n=53, p=0.02)、TRXとBMIには有意な相関は認められなかった。 基礎的検討 上記結果から、現在、細胞に無呼吸と同様な間歇的低酸素を暴露させる装置の調整を行っている。
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