研究課題
基盤研究(C)
酸化ストレスマーカであるチオレドキシン(thioredoxin: TRX)とアディポサイトカインであるアディポネクチンを閉塞型無呼吸(obstructive sleep apnea: OSA)患者で検討した。27名の重症OSA患者の持続気道陽圧(continuous positive airway pressure: CPAP)療法前と1ヵ月後に血中TRXとアディポネクチンを測定し、12名の健常者と比較した。OSA患者は健常者に比べTRXが有意に高く(p=0.002)、アディポネクチンが有意に低かった(p=0.002)。1ヶ月のnCPAP治療にてTRX(43.6±23.0ng/mLから33.3±20.8ng/mL,p=0.02)は有意に減少し、アディポネクチン(3.55±1.37μg/mLから3.79±1.14μg/mL, p=0.008)は有意に増加した。TRXはAHIと正の相関(p=0.002)がみられ、アディポネクチンはAHIと負の相関(p=0.004)が認められた。アディポネクチンはBMIと有意に相関したが(n=53, p=0.02)、TRXとBMIには有意な相関は認められなかった。TRXはOSA患者の酸化ストレスマーカーになり治療効果の指標にもなると考えられた(Antioxid Redox Signal2008;10:715-726)。また、基礎的検討を行うため、低酸素曝露装置を制作した。血球、細胞に無呼吸と同様な間歇的低酸素を暴露させる装置が可能な装置である。今後この装置を用いて、諸種細胞に対する間歇的低酸素の影響を解析していく予定である。当初の計画予定より、機器の製作が遅れたため具体的実験は今後の課題となった。
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