研究課題/領域番号 |
18603007
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
香山 雪彦 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (30035224)
|
研究分担者 |
小山 純正 福島大学, 共生システム理工, 教授 (80183812)
高橋 和巳 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (90325952)
|
キーワード | 外背側被蓋核 / アセチルコリン / レム睡眠 / 血圧 / 外側視床下部 / 自律神経系 / ラット / ムスカリン性受容体 |
研究概要 |
レム睡眠中にホメオスタシスは正常な機能を失い、自律神経系の大きな変動が生じるが、この自律神経系の変動がどのようなメカニズムによって駆動されているのか、またそれがどのような生理的役割をもつのかについては、ほとんどわかっていない。本研究では、レム睡眠中に起こる血圧変動のメカニズムを明らかにするため、以下の実験を行った。 1.中脳尾側部から橋吻側部において、電気刺激による血圧に対する効果を調べた。 刺激は、ガラス微小管につめたカーボンファイバー電極(φ10μm)を油圧マニピュレーターを用いて駆動し、100〜200μmおきに与えた。その結果、レム睡眠の発現に重要な役割を果たすアセチルコリン作動性ニューロン群である外背側被蓋核(laterodorsal tegmental nucleus : LDT)とその周辺への刺激によって、より効果的に血圧上昇が引き起こされることが明らかになった。 2.LDTは上行性に視床や視床下部に投射し、睡眠・覚醒状態に影響を与えている。そこでLDT周辺への刺激が上行性のアセチルコリン作動性ニューロンを賦活している可能性を確証するため、外側視床下部(lateral hypothalamus : LHA)にアセチルコリンのムスカリン性受容体阻害剤であるスコポラミン(<1mM,1μl)を投与し、LDT刺激の効果を比べた。その結果、LDT刺激によって誘発された血圧上昇は、スコポラミンによって阻害されることが明らかになった。 3.無麻酔で頭部のみを固定したラットにおいて、血圧を記録しながらLDTの神経活動を記録した。その結果、LDTのアセチルコリン作動性ニューロンの一群は、レム睡眠時の血圧変動に相関して相同的な活動上昇を示すことが明らかになった。 これらの結果は、LDTからLHAに投射するアセチルコリン作動性ニューロンの一群がレム睡眠中の血圧変動に特異的に関与している可能性を示唆する。
|