研究概要 |
本研究は、(1)生薬、漢方薬、民間薬等の天然薬物の中から不眠に用いられているものについてスクリーニングを行い、(2)その中で睡眠効果の認められたものから睡眠調節作用をもつ成分を単離、同定し、(3)脳内の睡眠物質の濃度測定や睡眠覚醒障害モデル動物を用いた睡眠解析等を行うことで、その作用機構を解明することを目的とする。本年度は以下の結果を得た。 1.不眠に用いられている天然薬物(サンソウニン、ヤコウトウ、アキノワスレグサ等)のエキスを調製した後、各エキスをマウスに経口投与し、ロコモーターアッセイにより運動量の変化を調べた。その結果、サンソウニンおよびアキノワスレグサのエキスにマウスの運動量を減少させる効果がみられた。次に、サンソウニンおよびアキノワスレグサのエキスの分離を繰り返し行い、サンソウニンよりjujuboside A, jujuboside B, spinosinを単離し、アキノワスレグサよりoxypinnatanineを単離した。得られたこれら化合物についてもマウスに経口投与し、運動量の変化を調べた。その結果、jujuboside Aおよびoxypinnatanineにマウスの運動量を減少させる効果がみられた。 2.さらに、サンソウニンおよびoxypinnatanineに関しては、ラットに経口投与し、脳波・筋電図を測定し、その周波数や波形を自動睡眠解析ソフトで解析した結果、いずれもビーグル投与時に比べてノンレム睡眠時間を延長する効果が見られた。
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