研究概要 |
近年,Th2細胞の分化・活性化には,Stat6非依存的経路が存在することが明らかとなった。一方,本研究者らは,これまでの研究により,Stat6とStat5aを同時に不活化するとTh2細胞分化とアレルギー性気道炎症が完全に抑制されることを見いだし,Stat5aがStat6非依存的Th2細胞分化に必須であることを明らかにした。これらの研究成果は,Stat5a経路をターゲットとしたアレルギー性疾患治療の可能性を示唆するが,Stat5aの下流でTh2型免疫応答を選択的に誘導する分子はいまだ不明である。 そこで本研究では,転写因子と標的遺伝子との結合を直接検出可能なクロマチン免疫沈降法(ChIP法)を用いてStat5aが制御する遺伝子群の同定を試みた。その結果,ICOS(inducible costimulatory molecule)の遺伝子近傍にStat5aの結合が確認された。そして,CD4陽性T細胞をIL-2で刺激しするとStat5a依存的にICOSの発現が亢進すること,ICOSはTh1細胞に比し,Th2細胞に高発現していることを明らかにした。さらにICOSはリンパ節においてT_<FH>細胞上に発現し,T細胞依存的B細胞応答に重要な役割を果たしていることより,抗体産生におけるStat5a/ICOS経路の役割をStat5a欠損マウスを用いて検討した。その結果,Stat5a欠損マウスでは,T_<FH>細胞におけるICOSの発現が低下していること,抗原特異的抗体産生が低下していることを明らかにした。以上の結果より,Stat5aはICOSの発現を誘導することによりT細胞依存的B細胞応答を誘導している可能性が示唆された
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