研究課題/領域番号 |
18604007
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
出原 賢治 佐賀大学, 医学部, 教授 (00270463)
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研究分担者 |
金地 佐千子 佐賀大学, 医学部, 助手 (50363429)
太田 昭一郎 佐賀大学, 医学部, 助手 (20346886)
永井 博弌 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (90082974)
井上 誠 ディナベック株式会社, 戦略基盤技術開発部, 部長 (30373541)
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キーワード | アレルギー・ぜんそく / 遺伝子 / 蛋白質 / 免疫学 |
研究概要 |
今年度の本研究では、細胞外マトリックス分子の一つであるペリオスチンが気管支喘息の線維化における新規の構成成分であることを見出した。気管支喘息において線維化は臨床的重症度とよく相関しており、その機序の解明とそれに対する治療法の開発は、気管支喘息のコントロール上非常に重要である。ペリオスチンは元来骨形成に関与する細胞外マトリックス分子として同定されていたが、今までに細胞外マトリックス分子としての性質についての詳細な解析はされておらず、気管支喘息など疾患との関連性については全く知られていなかった。本研究においては、(1)肺線維芽細胞におけるペリオスチンの発現をRT-PCR、ウエスタンブロット法により解析した。(2)抗ペリオスチン抗体を作製して、健常者及び喘息患者の肺組織におけるペリオスチンの発現を免疫染色により解析した。(3)野生型、IL-4欠損、IL-13欠損マウスを用いて慢性喘息モデルマウスを作製し、肺組織像、ペリオスチンの発現を解析した。(4)ペリオスチンのリコンビナント蛋白質を作製して、種々のマトリックスタンパク質との結合を解析した。その結果、次のような知見が得られた。(1)肺線維芽細胞をIL-4あるいはIL-13で刺激すると、ペリオスチンが分泌された。(2)気管支喘息患者あるいは気管支喘息モデルマウスの線維化部位においてペリオスチンが沈着していた。(3)ペリオスチンはテネシンC、フィブロネクチン、コラーゲンVといった他のマトリックス分子と結合した。以上の結果より、気管支喘息において、IL-4あるいはIL-13刺激により線維芽細胞からペリオスチンが分泌され、他の細胞外マトリックスタンパク質と結合して線維化の形成に関与していると考えられた。この成果は気管支喘息線維化の発症機序における新しい局面を切り開くものであるとともに、線維化の改善につながる新しい治療法の開発につながると期待される。
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