研究概要 |
地域啓発番組を放送し,その視聴後に確認したコミュニティーの変化を,聞き取りで調査した。TV番組よりの情報提供活動への理解は概ね好評であったが,今後,地域での関連資料の充実が課題であることが要望として強く求められた。地域の退学率の変化や退学/進級生徒の家庭の相違,クランの教育への認識の変化を見据えながら,地域コミュニティーの連鎖の中で起こった自己の行動選択変容を含んだ,人材資源開発に対する認識,意識の変化を記録した。対象地域の生徒の教育定着では,統計的に有意ではないが,着実な向上が見られ,教育と地域社会の発展とのつながりが地域で理解され,就学,学習継続のための地域発信のいくつかの活動が生まれた。誘因的な変化に留まらず,自発的行動が見られたのも注目すべき結果である。番組素材の効果と,意識変層の実態との関連については,海外の専門家とも連携を図り,多視点な意見を集約しまとめた。その結果,多文化の当該国での番組制作では,より丁寧な内容文脈の説明準備が必要であることなどが指摘された。インターナショナル,ナショナル,ローカルのレベル間に発生した活動の特性や,それが及ぼす各レベルでの意義理解の様子についてまとめ,地域層間の連携を考慮した啓発プログラム開発のための手順を決定した。具体的には階層分析法を活用した,異種専門家の協議取りまとめ手法で,詳細を学術報告としで国際学術会議で報告・刊行した。
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