1.海外実地調査による資料収集 夏休みおよび春休み期間を利用して、ロシア沿海州・アムール地域ならびに中国内蒙古自治区での実地調査を行った。対象となった言語はウデヘ語、ナーナイ語、ウルチャ語、ソロン語であり、これまでの採集資料の分析確認とあらたな資料の採集を行った。具体的には、まず2009年8月4~20日、中国内蒙古自治区鄂温克族自治旗にて、ソロン語を調査した。次に8月24日~9月7日、ロシア沿海州クラースヌイ・ヤール村にてウデヘ語、ハバロフスク州のウリカ・ナツィオナーリノエ村にてナーナイ語クル・ウルミ方言を調査した。11月20~27日には、ナーナイ語のコンサルタントであるL.T.キレ氏を招聘し、ナーナイ語の資料整理および翻訳を行った。2010年3月8~22日には、ロシア極東のアチャン村、ジュユン村、ナイヒン村及びシカチ・アリャン村にてナーナイ語の諸方言を調査した。 2.研究会発表 6月14日、北海道大学で行われたシンポジウム「口承文芸の魅力-アイヌとその隣人-」にて、「ツングース諸民族の口承文芸について」という題で発表した。 3.研究成果の刊行と現地還元 今年度は文法概説を付した3冊のテキスト集を刊行することができた。郵送により発送し、語り手と現地教育機関等に配布した。国内の研究所機関ならびに記述言語学に携わる諸研究者にも発送した。文法的な問題に関して、2編の論文を発表し、比較言語学的な問題に関して、論文を1編発表した。
|