研究課題/領域番号 |
18606007
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小林 敦子 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (90195769)
|
研究分担者 |
松本 ますみ 敬和学園大学, 人文学部, 教授 (30308564)
|
キーワード | 東アジア / 少数民族研究 / 開発研究 / 人間発達 / エンパワーメント / 中国 / ムスリム / 女性 |
研究概要 |
研究目的 (1)グローバリゼーションの下での中国ムスリム女性のエンパワーメントを、公教育、宗教教育の2方向から総合的に検討する。(2)寧夏において回族に対して行われた日本のNGOによる教育支援プロジェクト(1993年〜2005年、女性教員養成を含む)の評価を行う。(3)モスクに付設された女子アラビア語学校が回族女子青年の地位向上を図っている実態を明らかにする。 研究方法 (1)海外協力者による寧夏における回族女性教員調査(日本のNGOの教育支援による養成)と、国際フォーラムの開催(2008年10月24日、早稲田大学)、(2)広州における回族出稼ぎ者へのインタビュー調査(2008年12月24日〜30日)、(3)河南省開封における女性モスク付設女子アラビア語学校の調査(2009年3月10日〜14日)、 研究成果 (1)日本のNGOの教育支援によって養成された回族女性教員は、結婚・出産後も小学教員として働いており、地域で活躍している。 (2)広州で働いているアラビア語学校卒業生(回族)の中には、日本のNGOの支援によって建設された小中学校の卒業生がおり、日本の教育支援が少数民族の基礎教育に重要な役割を果たしていることが明らかにされた。 (3)民族の特性を生かした女子アラビア語学校出身者の中には、広州で通訳として働いている者が多く、中国の就職難の中で有利な状況に置かれている。アラビア語通訳の月給は2000元〜3000元に上っており、これは、大卒初任給よりもかなり高額である。家庭の経済的困窮、あるいは普通高校への不合格等の事情から、普通高校への進学を断念した回族女子青年にとって、アラビア語学校はセーフティネットとなっていることがわかった。 (4)中原地帯においても、女性モスク、及び付設の女子アラビア語学校が回族女性のネットワーク形成、あるいは回族女子青年の地位向上の上で重要であることが確認された。
|