研究概要 |
ヘレロ語(およびその変種であるンバンデル語)とバツァ語に関して,以下のような現地調査と研究を行なった。 ●米田信子(研究代表者)ヘレロ語/ンバンデル語(2/17-3/11ナミビア,ボツワナで現地調査) 現地調査では歴史資料をもとにヘレロ語話者の移動経路をたどり,ナミビア東部とボツワナ西部のヘレロ語の分布を調べ,各集落で語彙収集を行なった。ウィントフックでは研究協力者の阿部と共に,ンデンデウレ人たちのヘレロ語に対する言語態度や母語活性化の動きについてナミビア大学と教育省においてヒアリングおよびディスカションを行なった。さらに教育開発研究所と教科書出版社ではアフリカ諸語の言語教育の現状や問題,政府の対策等についての資料を集め,ヒアリングと議論を行なった。この成果は次頁の論文の他,アフリカ言語研究会(3月31日京都大学)で口頭発表した。 ●阿部優子(研究協力者)ヘレロ語(2/13-3/11ナミビアで現地調査) 米田との共同調査以外に,ナミビア国立文書館と国立図書館においてヘレロ語正書法の資料を収集し,現行正書法の浸透状況や問題点を調べた。また「標準」ヘレロ語の文法調査を行なった。 ●神谷俊郎(研究協力者)バツァ語(11/6〜12/20南アフリカ共和国で現地調査) 現地調査ではバツァ語および周辺言語の語彙および声調の調査を行なった。神谷はバツァ語の調査を継続的に続けているので今回はこれまでの調査結果を踏まえて,用例の補完的収集,動詞派生辞の現れ方の近隣言語との比較調査,語彙や発音にみられる年齢差や地域差の調査を行なった。この研究成果は3月末のアフリカ言語研究会で発表した他,2007年度中に刊行を予定している「バツァ語語彙集」に反映される。 上記の現地調査に先立ち,5月と10月に研究会を開き,南部アフリカの言語事情に関する情報の共有化と調査内容の検討,語彙調査の作成を行なった。
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