平成19年度は、18年度に引き続き、海外学協会における倫理綱領の運用状況などに関する調査を行うとともに、日本の学協会の現状の調査を行った。調査の実施にあたっては、研究協力者の藤本良伺氏(北海道大学大学院文学研究科博士後期課程)および眞嶋俊造氏(北海道大学大学院文学研究科博士研究員)の協力を仰いだ。主要な調査としては、(1)イギリス土木者協会における倫理綱領の実施状況のインタビュー調査(専門職行動部門Paul Taylor氏)、(2)オランダ王立技術者協会における倫理綱領の実施状況のインタビュー調査(Jasper van Altern、 Luna Taglioni氏)、(3)日本の工学系学協会における倫理綱領の調査、(4)国内外の学協会・技術者倫理に関する資料収集を行った。これ以外では、デルフト工科大学(オランダ)のIbo van de Poel氏にインタビューを行い、オランダおよびヨーロッパにおける技術者倫理の現状に関する情報収集を行ったほか、IEEE Society on Social Implications of Technology(SSIT)(電気電子技術者協会「技術の社会的影響」部会)前会長のJoseph R. Herker氏にインタビューを行い、IEEEにおける技術者倫理への取り組みの歴史と現状に関する情報収集を行った。また台湾のPei-Fen Chang氏(中華工程教育学会Criteria and Procedures Committee副委員長、国立中央大学)およびDC Wang氏(国立雲林科技大学)を招いたワークショップを開催し、台湾と日本の工学倫理の状況やアジアにおける工学倫理の展望に関する情報交換と意見交換を行った。これらの調査により、各国の学協会における倫理綱領の実施状況が明らかになり、倫理綱領に関する制度設計への提案が可能になったものと思われる。
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