研究概要 |
本研究は,技術倫理とその継続教育の効果を高めるための伝統文化との整合性に関する研究である。技術倫理とその教育は米国で発達し、我が国ではこれまでそれらを参考にして研究され教育されてきたが、文化や社会制度の違い等があり必ずしも期待通りの成果は得られていない。今後は我が国の伝統文化を考慮に入れた技術倫理の概念構築、倫理綱領作成、工学教育が必要であるという指摘を行ったが、この理解が深まりつつある。また本研究では、欧米の技術倫理綱領を比較分析し,伝統文化や社会制度との関連を明らかにし,倫理綱領や倫理教育と伝統文化との関連を究明することを試みている.その中で、我が国の工学教育や人格形成教育の歴史を分析し,社会における技術者の役割を再評価し,適切な倫理綱領及び倫理教育のあり方を考察し、国際的に通用する高度な倫理観を持つ技術者育成の指針を示すことを試みつつある.更に、文化を共有するアジア諸国との連携により、より広い視点から伝統文化に根ざした技術倫理のあり方を究明し、アジア諸国の技術倫理の発展に貢献することを目指している.これは東アジア工学アカデミー円卓会議(EA-RTM)で推進している。また、継続教育のインフラとしてのe-LearningプラットフォームWebELSの開発および教材の試作・評価を行い、実践への指針を示したい.これまでの研究によって、我が国の工学教育の特徴および技術倫理と伝統文化の関係をある程度明らかにすることが出来、技術者の自律と個人責任のあり方に関する日米の違いを考察した。更に、アジア共通の文化に関しても、このようなものが存在することを指摘した。E-LearningシステムWebELSの活用についても一部実験を行い、有効性を示した。
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