研究課題
基盤研究(C)
大腸菌シグナルペプチドペプチダーゼ(SPP)のC末端領域と27%の相同性を示す遺伝子(TK1164)がT. kodakaraensisゲノム上から同定された。その翻訳産物(SppA)はペプチダーゼ活性を示し、酸性アミノ酸を認識せず、P-1には側鎖の短いアミノ酸、P-3には疎水性・芳香族アミノ酸を認識することが分かった。これらの結果からSppAはシグナルペプチド中央部の疎水領域の切断に寄与すると考えられた。様々な変異型酵素を解析した結果、SppAはSer162及びLys214からなるSer/Lys catalytic dyadを利用していることが判明した。S128A、Y165A酵素は活性の増大や基質特異性の拡大が観察された。これらの残基はSPPが細胞内でシグナルペプチド以外のタンパク質を切断しないようにあえて活性を抑え、特異性を限定しているのではないかと考えられた。さらにSppAと類似した構造を示すTK0130が同定された。その翻訳産物(SppB)はSppAと18%の相同性を示し、実際に膜結合型タンパク質で性あることが分かった。SppBも酸性アミノ酸残基を含むペプチドを切断しなかったが、P-1/P-3は疎水性アミノ酸を、P-2は塩基性アミノ酸を強く認識した。これらの結果から、SppBはシグナルペプチドのN末端領域を認識し得ることが明らかとなり、SppAとSppBが協同してシグナルペプチドの分解に関与することが示唆された。SppBはSer/His/Aspからなるcatalytic triadを活性中心にもつことがわかった。また様々な遺伝学的解析を行ったところ、T. kodakaraensis内でマルトオリゴ糖の輸送に関与する唯一のtransporterも同定でき、薬剤耐性に基づいた超好熱菌遺伝子破壊系も構築できた。
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