研究課題/領域番号 |
18608003
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
林 秀則 愛媛大学, 無細胞生命科学工学研究センター, 教授 (60124682)
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研究分担者 |
奥山 英登志 北海道大学, 地球環境科学研究科, 准教授 (90125295)
西山 佳孝 愛媛大学, 無細胞生命科学工学研究センター, 准教授 (30281588)
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キーワード | 微生物 / 生理活性 / 蛋白質 / 熱ショック応答 |
研究概要 |
比較的低温における熱ショックタンパク質の発現調節機構の解明するため、ゲノム情報が既知の好冷性細菌、Colwellia.psychrerythraeaに存在する2種類のdnaK遺伝子について発現様式を昨年に引き続いて解析した。またこれらを組み換えタンパク質として発現させ、単離、精製したものについてATPase活性の温度依存性を解析した。C.psychrerythraeaは8℃で培養し、対数増殖中期の菌体を4〜25℃の温度で処理した。この培養液から得た菌体を緩衝液に懸濁し、SDS-phenol法によりタンパク質を除去、isopropanolを加えてRNAを回収した。dnaK1遺伝子から発現されたmRNAは4℃、8℃で処理した菌体では殆ど検出されないのに対し、12℃以上で処理をすると徐々にその量が増加した。一方、dnaK2遺伝子から発現されたmRNAは、4〜12℃の処理ではほぼ一定量存在し、16〜25℃では処理温度が上がるにつれて発現量が増加していた。このようにC.psychrerythraeaの二つのdnaK遺伝子は、いずれも常温で生息する生物よりも低い16〜25℃で発現され、また4〜12℃においては両者の発現量が大きく異なることが明らかになった。好冷性細菌C.psychrerythraeaのDnaKは40℃で活性が最大となり、常温生物である大腸菌のDnaKの温度依存性に比べて低温側に活性の極大があることが明らかになった。これはC.psychrerythraeaが大腸菌よりも低い温度で、高温ストレスを受けるため、より低い温度でDnaKが機能する必要があるためと考えられる。また、これまでの測定において、還元剤(DTT)の添加や塩濃度などの反応条件の変化により、活性の温度依存性が変化すると考えられる。
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