構造が堅く扱い易い超好熱菌の複合鉄硫黄酵素等をモデルとし、合金酵素ナノアッセンブリー機構解析を連携して行い、平成20年度には以下の主要成果を得た。 1.先に解明した超好熱菌鉄硫黄タンパク質スルレドキシンとその異酵素の6種のX線結晶構造から、タンパク質マトリックスにおける鉄と亜鉛イオンの選択結合機構につき、さらに検証、を重ねた。とくに、単結晶のEXFAS測定、結晶サンプルをいた重金属置換効果を検討し、作業仮説を検証できたので、原著論文として今後成果公表する。 2.鉄硫黄クラスター挿入機構に関する研究の一環として、Thermus thermophilus HB8のmitoNEETホモログ(Tth-NEET0026)を発現・同定・結晶構造解析を行い、細菌型酵素の構造を1.8A分解で決定した。また、分光学的解析を行い、学会発表した。 3.古細菌ゲノム配列情報をもとに、超好熱菌複合金属酵素をコードする遺伝子クラスターを大腸菌で大量発現させる簡易ストラテジーを開発し、学会発表した。また、標的遺伝子クラスターの非翻訳領域に変異を導入し、系統的に発現解析した。 4.古細菌型コハク酸:キノン酸化還元酵素(ORF4つの膜結合蛋白質)の発現系開発に成功しリコンビナント精製酵素につき、精製法および結晶化方法の改善を検討した。現在分解能は6A程度であり、今後、中程度以上の分解能での結晶構造解明を目指したい。また、本酵素の鉄硫黄クラスターの生理的電子伝達機能には、サブユニットアッセンブリーよる性質変化が必須であることを分光学的手法により明らかにした。呼吸鎖複合体としては初の例であり、原著論文として今後成果公表する。
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