稀少な資源を効率的に配分する問題の研究は経済学の伝統的な課題である。効率性を満たす異時点問の資源配分については、世代重複モデルや最適成長モデルでこれまで十分に研究されてきた。しかし、衡平性を満たす異時点問の資源配分については、最適成長論はおろか、社会選択論でもこれまで十分に考察されてきたとは言い難い。しかし、90年代後半以降、すべての世代を衡平に取り扱う評価順序の存在問題が公理主義的立場から分析されるようになり、今や世代間衡平性に関する活発な研究が進行しつつある。本研究の目的は、主に数学の立場から研究されてきた【衡平分割】(fhirdivision)の理論的成果を踏まえ、年金改革に象徴される世代間所得移転の問題を異時点間資源配分の効率性と衡平性の両立可能性の観点から分析することである。
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