研究概要 |
1,本研究課題に関わる予備調査の実施 学生が受講した授業のうち,最も成績評価が厳しい授業と易しい授業のそれぞれについて,どのような学習態度で授業に臨んでいたか(予習をしていたかなど),どのような学習方略を用いていたか,学習成果をどのように評定するかといったことを調査した。成績評価の難易度のほかに,試験を複数実施してフィードバックをする形成的評価が行われていたかどうかも調査した。 学習成果については,成績評価の難易度の違いによる明確な違いは見られず,成漬評価が厳しければ教育効果が高いとは限らないことが示された。その一方で,形成的評価が行われると自習時間が長くなる僚向があり,1週間あたりの自習時間が1-2時間を超える学生の学習成果の認知は,自習時間が短い学生よりも有意に高かった。 これらのことから,学習成果をあげるには学生に学習させる必要があること,そして学生に学習させるには成績評価を厳格にするだけでは不十分で,試験を複数実施するなどして学生の学習習慣を形成する必要があることが示された。(西垣著「成績評価の何をどのように検討するべきなのか」にて発表) その一方で,形成的評価の実施状況が,学習方略が学習成果に与える影響は限定的でもあった。この背景としては,学生が返却された試験を効果的に見直していない可能性が考えられる。この点について主も 追訴査が必要である。 また,大学の成綾評価改革によって実際の授業での学生の学びがどのように変化したのかなどについて,国内の大学の実地調査を行うとともに,海外調査の実施(平成19年度に実施予定)に向けた事前調査を行った。 2,ICT利用コンテンツ開発の着手 1の実施にあわせて,ICTを利用して教育成果の向上に資する学習コンテンツのプロトタイプを作成し(「力学基礎」,「電磁気学基礎」),平成19年度の試用に備えた。(成果の一部は,2007PCカンファレンス(8月,北海道大学)で発表予定)
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