研究概要 |
【教育評価が教育成果に与える影響に関するプロセスの検証】平成19年度までに実施した調査結果をとりまとめ,大学教育学会で発表するとともに,論文を『大学教育学会誌』に発表した。成績評価が厳しいと学生が認識している授業と甘いと学生が認識している授業における学生の学習行動や学習成果についての調査では,学年による違いが判明した。初年次学生は「大学の学習成果」についてまだ十分な認識を持っていない可能性があることが示唆され,初年次学生に対する教育の在り方(各大学の教育目標の理解など)を検討する上での示唆を得た。 【国内の大学における成績評価制度改革後の実態調査のとりまとめ】平成19年度までに実施した単位制度の運用状況等の調査結果をとりまとめ,大学教育研究フォーラム(京都大学)にて発表した。この調査では,学生の自習を支援する体制について,整備が進みつつある現状が示された。特にe-Learningを活用した取組が幅広く行われていた。また,GPA制度と履修登録単位数の上限設定を実施した後に学生の学習時間が増えたという大学では,シラバスへの自習支援情報の明示などの自習支援策をより多くの組み合わせで実施していることも示された。このことから、単位制度に関わる諸施策は個別に導入するのではなく,学習目標を明確設定した上で,学生の学習を支援するための取り組みを体系的に整備していくことが必要であることが示唆された。 【ICT利用による教育評価実施の「効率性」の検証】信州大学「教育の質保証」プロジェクト(現代GP「自ら学び,学び続ける人材育成の基盤形成」)と連携して,同プロジェクト協力教員を中心にアンケート調査を行い,同プロジェクトの報告書として整理した。今後,この結果を精査し,本研究の趣旨である「効率性」の検証を行う予定である。担当者の間では,この効果・効率について,肯定的な意見が多かった。
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