研究概要 |
1.保育者が「問題」と考えることに関する具体的記述の収集および分析 保育経験者425名に対して、"日常の保育、子どもに関すること"、"自分の能力、適性などに関すること"、"園内の人間関係"、"保護者との問題に関すること"、"勤務条件に関すること"、"経営方針に関すること"の6項目に対して、どのような具体的な事柄について困ったり、悩んだり、考えたりしたかを自由記述で求めた。この記述を315項目にまとめ、保育経験者293名に6段階評価を求め、予備分析を経た150項目について因子分析をおこなった。この結果、"保育能力"、"園長との関係"、"先輩との関係"、"困った保護者との関係"、"多忙感"の5因子を得た。さらに、保育能力に関する73項目について、因子分析を行い"子ども理解と援助"、"劣等感"、"クラス運営"、"指導的対人能力"の4因子を得た。これらの結果をもとに、保育能力についての自己評価項目ならびにストレス反応の生起を伴う項目を選別し、尺度化を試みた。 2.歌唱指導時における顔面皮膚温度変化についての予備的検討 暑耐性値(Dienstbier,1987;三根,1994)が標準より低い者の歌唱指導時における顔面鼻部の皮膚温度変化を暑耐性値が標準的な者および比較的高い者の変化と比較した。声楽の科目担当者によって、発声練習、既知の校歌練習、新曲練習(着席、起立)の指導が約30分間行われた。暑耐性値が比較的高い者では、開始時に多少の皮膚温の上昇が認められたが、以後は変化がなく、標準的な者では漸増が認められた。一方、耐性値の低い者では、新曲の練習開始時より約10分間温度低下が見られ、以後、回復がみられるが、起立により、再度、温度低下が生じた。暑耐性値が標準より低い者については、一般的に自律系の調節能力の低さ、不安感の高さが認められるが、歌唱指導時においてもこれに準じた結果が得られたと考えられる。
|