研究課題
基盤研究(C)
MethA sarcomaを用いたがん性神経障害モデルでは、神経障害はがん発育による圧迫障害が主体であると考えられたが、一部の動物(約2%)では突発的に非常に強い自発痛が現れ、がん患者におけるいわゆる"breakthrough pain"によく似ており、がん細胞による神経鞘破壊、もしくはがん性細胞の神経内浸潤との関連が強く疑われた。そこで、今回の研究ではこのようながん細胞の神経浸潤による神経障害性疼痛の疼痛機序を検討する。その第1段階として本年度はより高率に神経浸潤をおこすがんモデルの作成を目標とした。方法として、より浸潤性が高いと考えられるがん細胞の利用と、神経上膜の人工的破綻による浸潤性の増大の2本立てで行った。より浸潤性の高い可能性のあるがん細胞として、NCTC2472 cellsおよびSarcoma I/N variant cellsを用いて検討した。NCTC2472細胞は、MethA sarcomaと類似の症候を惹起し、神経浸潤はみられなかった。また、Sarcoma I/N variant cellsは約10%の動物で"breakthrough pain"様症候を呈したが、モデルとしては効率か低いと考えられた。現在K-BALB (K-234)cellsについて検討中である。また、神経上膜の人工的破綻による浸潤性の増大の方法として、顕微鏡下の神経上膜の剥離(物理的破綻)とコラゲナーゼによる科学的破綻の2つの方法がある。いずれも、それ自体で神経障害性疼痛を惹起する可能性があり、コントロールスタディを行ったが、2週間の検討で疼痛症状は呈さなかった。神経上膜の物理的破綻後MethA sarcomaを移植した動物では、神経浸潤の確率が上昇するという初期結果が出ている。
すべて 2006
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Brain Research 1083
ページ: 61-69
Autonomic Neuroscience- Basic 126-127
ページ: 139-145