研究課題/領域番号 |
18613006
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中川 貴之 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (30303845)
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研究分担者 |
南 雅文 北海道大学, 薬学研究科, 教授 (20243040)
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キーワード | 慢性疼痛 / アストロサイト / 脊髄 / ATP / ERK / グリア型グルタミン酸トランスポーター / GLT-1 / 組換えアデノウイルス |
研究概要 |
脊髄内ATP誘発長期持続性アロディニアを慢性疼痛モデルとして、脊髄内ミクログリアおよびアストロサイトの活性化状態の経時変化を検討したところ、ミクログリアは比較的早い時期(〜ATP投与1日後)に、引き続いてアストロサイト(同1〜3日後)が活性化されることを明らかとした。また、ミクログリア選択的活性化阻害薬ミノサイクリンは、長期持続性アロディニアの誘導(ATPと同時投与)を抑制したが、移行期(1日後)あるいは維持期(7日後)に対しては、何ら効果を示さなかった。一方、アストロサイト選択的阻害薬fluorocitrateは、誘導期だけでなく移行期においても有意な抑制作用を示した。また脊髄内でのERKおよびp38活性化の経時変化を検討したところ、ERKは誘導期〜移行期をピークとして顕著に、また維持期においても活性化されていたのに対し、p38は顕著なリン酸化は認められなかった。MEK阻害薬U0126は、長期持続性アロディニアの誘導期〜移行期において抗アロディニア作用を示したが、維持期では何ら影響を及ぼさなかった。これに対し、p38阻害薬SB203580は誘導期においてのみ部分的な抑制作用を示した。また、主にアストロサイトに発現するグリア型グルタミン酸トランスポーターGLT-1の局在変化を解析するために、GLT-1-EGFPフュージョンタンパク質をアストロサイト選択的に遺伝子導入することができる組換えアデノウイルスベクターを作製した。本ウイルスベクターを培養神経-グリア共培養系に感染させ、タイムラプス蛍光顕微鏡下でその局在変化を観察したところ、グルタミン酸の処置によりGLT-1は1時間以内に細胞内へと移行し、クラスター状に集積することを見出した。また、このGLT-1クラスターは、初期あるいはリサイクリングエンドソームおよびリソソーム中に含まれることを明らかにした。
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