研究課題/領域番号 |
18613014
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
岸岡 史郎 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (60137255)
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研究分担者 |
前田 武彦 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (50271010)
木口 倫一 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (90433341)
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キーワード | 疼痛 / PPAR / 神経炎症 / サイトカイン |
研究概要 |
【目的】神経因性疼痛(NP)モデルにおけるIL-6発現増加がペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)刺激薬ピオグリタゾン投与により減弱することを明らかにしてきた。しかし、その細胞内シグナル経路の活性と疼痛形成との関係については示されていない。本研究では、毛様体神経栄養因子ファミリーに属するIL-6およびレプチンのNPモデルにおける細胞内シグナルJanus kinase(Jak)-signal transducer and activator of transcription(STAT)経路の活性について検討した。 【方法】マウスの坐骨神経(SCN)を部分結紮(PSL)することにより、NPモデルを作製した。Jak-2およびSTAT3の活性型であるリン酸化体(pJak-2およびpSTAT3)、IL-6、レプチン、PPARγならびにF4/80(マクロファージのマーカー)の発現をSCNにおいて評価した。後肢足底に対するvon Freyフィラメントによる触刺激およびHargreaves法による熱刺激により惹起される疼痛反応を測定した。AG490(Jak-2阻害薬、i.p.)、IL-6抗体(SCN周囲投与)、レプチン(i.p.)およびピオグリタゾン(PIO、p.o.)投与の疼痛反応に及ぼす影響を検討した。 【結果および考察】PSLによる痛覚過敏反応の形成に伴い、IL-6、レプチン、pJak-2、pSTAT3ならびにPPARγの発現量が増加した。PSL側SCNに見られるF4/80陽性細胞はpSTAT3およびPPARγを発現していた。IL-6抗体、AG490およびPIO投与は痛覚過敏反応ならびにpSTAT3発現増加を減弱したが、対照的に、レプチン投与はそれらを増強した。以上の結果は、SCNのPSLによるJak-STAT経路活性化は、痛覚過敏反応を促進性に調節することを示唆する。
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