1)薬剤脳内微量投与(microinjection)について 吻側延髄腹内側部(RVM)へのU0126(MEK、inhibitor)のmicroinjectionはラット足底へのCFA注射7時間後に生じるRVMでのERKリン酸化の増加を抑制した。またCFA注射24時間後、Plantartestでの熱刺激に対する反応潜時はコントロール群(50%DMSOをRVMへmicroinjection)ではCFA注射前のbaselineに比し52.0%±3.6%まで減少したが、U0126群では反応潜時の減少はbaselineの67.9%±5.3%にとどまり、U0126のmicroinjectionはCFA注射24時間後に生じる熱刺激に対する痛覚過敏を抑制することが明らかとなった。 これらのことから、末梢組織炎症後のRVMにおけるERKの活性化は痛覚過敏の増強に関与していることが示唆された。これら結果は第29回日本疼痛学会(2007横浜)において発表し、論文としてまとめ投稿し、研究成果1(Imbe et. al.Brain Res.1187(2008)103-110)を得た。 そして、少しでも臨床に役立てるため、それらデータを参考に和文総説をまとめ、研究成果2(井辺ほか、医学のあゆみ.223(2007)695-699)を得た。 2)炎症後の青斑核(LC)におけるリン酸化ERKの発現について ラット左側足底にCFA、formalin、生理食塩水を注射後、灌流固定を行い、脳を摘出、抗p-ERK抗体を用い免疫組織染色を行った。formalin注射後LCにおいてp-ERK陽性細胞の有意な増加が認められ、LCにおけるERKリン酸化はおもに急性疼痛に関与しているというデータが得られた、現在これらをまとめ投稿の準備中である。
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