研究概要 |
1.末梢組織炎症後の吻側延髄腹内側部でのERK活性化の意義:薬剤脳内微量投与(microinjection) 吻側延髄腹内側部(RVM)へのUO126(MEK,inhibitor)のmicroinjectionはラット足底へのCFA注射7時間に生じるRVMでのERKリン酸化を抑制し、CFA注射24時間後に生じる熱刺激に対する痛覚過敏を抑制することが明らかとなった。本実験結果より、末梢組織炎症後のRVMにおけるERKの活性化は痛覚過敏の増強に関与していることが確認された。 2.末梢組織炎症後の吻側延髄腹内側部でのp-p38MAPKの発現 ラット足底へのCFA注射30分後、吻側延髄腹内側部(RVM)におけるp-p38MAPK陽性細胞数は無処置群に比し有意に増加していた。この有意な増加は注射1時間後まで持続していた。また、CFA注射30分後、RVMセロトニンニューロン(TPH陽性)の約70%はp-p38MAPK陽性であり、p-p38 MAPK、TPH二重陽性細胞数は無処置群に比し有意に増加していた。本実験結果より、末梢組織炎症初期にRVMセロトニンニューロンにおいてp38 MAPKの性化が生じることが明らかとなった。 3.末梢組織炎症後の青斑核でのp-ERKの発現 ラット足底へのfomalin注射5分後、青斑核(LC)におけるp-ERK陽性細胞数は無処置群に比し有意に増加していた。この有意な増加は注射1時間後まで持続していた。本実験結果より、formalin注射という急性侵害刺激によりLCにおいて著明なERKの活性化が生じることが明らかとなった。
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