研究課題
ナノサイエンス・ナノテクノロジーの研究では、表面に露出しているものばかりではなく、何がしかの物質によって覆われた「埋もれた」ナノ構造を扱う必要がある。また人工的に形成された積層構造の各層や各界面は、常に上層に「埋もれた」状態にある。こうした「埋もれた」界面には、半導体、磁性体デバイス、ソフトマテリアルの薄膜はもとより、さまざまなコーティングにおける界面、接着界面、さらには一般的に異種物質を接合させた際の界面等、非常にいろいろなものを挙げることができる。そこには、それぞれに学術的、産業応用的に重要な課題が多くありながら、研究対象が「埋もれた」状態にあり表面に露出していないために、ほとんどの場合その観察には破壊せざるを得ないという困難さがあった。この困難さゆえに、物質の種別や材料としての応用の違いを超え、主として原子・分子のスケールでの構造の理解から「埋もれた」界面を破壊せずに研究しようとする広い横断的研究分野が成立する。本企画調査では、2日制のミニ国際ワークショップを含む3度のシンポジウムと4回にわたる会合を通じ、「埋もれた」界面に関連する27の研究課題についての調査を実施した。その結果、「埋もれた」界面の科学を新規な学問領域として確立することが、学術的、技術的および社会的観点から見てぜひとも必要であり、そのような新領域の形成をめざそうとする際には、研究場所や基盤である共通施設・機器、物質・材料の違いを超えた科学的な切り口での共通課題、あるいは高度化・ブレークスルーを求める共通技術を軸とすることが有望であるとの結論を得た。
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Transactions of the Materials Research Society of Japan 32
ページ: 181