本件は、基盤C(企画調査)として採択されており、この経費による実際の研究実施は試行的にも許されていない。その目的は、イスラエルとパレスチナ両地域の、ユダヤ人・アラブ人を対象に、「紛争をどのように解決するのが望ましいか」(紛争解決ストラテジー)についてのイメージを、個人の認知的情意的構造の面から探索することによって、地域間相違を明確にするようなインタビュー調査を、日本、イスラエル、パレスチナ、およびポーランドの研究者によって国際協同研究することを目標に、その研究整備を2006年度1年間の期間内に行うことであった。実績は以下の通りである。 まず、研究分担者である内藤(1993)が開発した個人別態度構造分析法(Analysis of Personal Attitude Construct : PAC Analysis、以下PAC分析法と表記する)を、国際的に運用できるよう、従来日本語のみで開発されていた分析用ソフトウェアを英語によって再編し、同時にその操作マニュアルを英語にて作成した。 それを元に、イスラエル・パレスチナ両地域における、紛争の認識と平和構築に対する意識調査を行うための教示マニュアルを英語版にて作成し、これを更にヘブライ語、アラビア語へと翻訳した。 次に、分析ソフトウェアおよび調査マニュアルを用いて、調査および分析を補助するイスラエル人、パレスチナ人、およびポーランド人が、実際にPAC分析を行うための説明会を行った(於イスラエル、パレスチナ西岸地区)。 最後に、説明会参加者からのフィードバックをまとめ、構築した内容に修正を加えた。 以上の作業を通じて、紛争地における「紛争解決ストラテジー」意識調査の国際協同研究に資する企画調査を、完了した。
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