研究課題
現在、国際海事機関(IMO)および国際船級協会連合(IACS)を中心に船体構造の国際標準化を進める機運にある。その背景には、本来適切なメンテナンスで排除すべきサブスタンダード船問題を新造船の設計思想の古典回帰、あるいは保守化のみで対応させようとする偏った考えが存在すると思われる。本企画調査では、船体構造の安全性向上と事故などによる環境リスク低減を目指し、国内関係学会である(社)日本船舶海洋工学会の「船体構造国際標準規則研究委員会」を通じ産業界と連携した活動を行った。また、英国サザンプトンで開催された国際船舶海洋構造会議(ISSC)に参加し、IACSのタンカーとバルクキャリアの船体構造規則およびIMOGBSの骨格をなす荷重・構造解析、座屈・最終強度評価、疲労強度評価について調査と討議を行った。調査項目は以下の通りである。1.荷重・構造解析:タンカー共通規則おおびバルクキャリア共通規則の設計荷重と解析モデルの相違とその問題点の調査に関連し、合理的設計波の考え方を検討した。2.座屈・最終強度評価:タンカー共通規則で適用されるPULSシステムによる座屈・最終強度解析手法とバルクキャリア共通規則で適用される手法の相違と問題点を調査した。3.疲労強度評価:縦横部材交差部における板厚効果の設計上の問題点および不規則荷重作用時の疲労寿命の遅延効果とばらつきの増大について調査した。上記の調査を踏まえ、共通規則の制定に際して、過去の蓄積から日本が保有する多量の客観的な実験データや実船損傷履歴をもとに、これらのデータと整合性のとれた現時点で最も合理的な強度判定基準を採用するための技術開発の方向性を検討するとともに産学連携による研究課題の抽出を行った。
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日本船舶海洋工学会論文集 4
ページ: 269-276
ページ: 239-245
ページ: 247-255