研究課題/領域番号 |
18638005
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
宮本 明夫 帯広畜産大学, 大学院畜産学研究科, 教授 (10192767)
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研究分担者 |
川島 千帆 帯広畜産大学, 大学院畜産学研究科, COE研究員 (20374770)
石井 三都夫 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 助教授 (80419960)
木田 克弥 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (70419216)
金子 悦史 帯広畜産大学, 大学院畜産学研究科, COE研究員 (90374769)
松井 基純 帯広畜産大学, 畜産学部, 助手 (20374762)
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キーワード | 高泌乳牛 / 健康 / 北海道 / 生殖 / 栄養 / 生理学 / 肝機能 / 泌乳曲線 |
研究概要 |
本研究では、道内の高泌乳牛を対象とした生理学的な分析を含む大規模調査を行った。その結果、諸検査で健康と判断される牛も、ほぼ半数の個体で乳生産のための肝機能への過度な負担が代謝系のバランスを崩し、それが生殖系へ負の影響を与えていることが明らかとなった。得られた膨大なデータベースの栄養・生殖生理、育種、臨床・生産獣医および経済学的な総合的解析によって、以下に列記する普遍性の高い重要項目が抽出された。 1)泌乳前期の乳量が同じであるにも関わらず、分娩後3週間以内に初回排卵が起きるウシと起きないウシはどの牛群でもほぼ半数ずつであり、この早期排卵は、その後の繁殖性に強く関連する。 2)早期排卵は、肝機能への負担の程度が軽いウシで起きやすく、重いウシで起きにくい。 3)エネルギー充足率が高いウシでは、早期排卵が起きやすい。 4)泌乳曲線のピークが高く、分娩直後から急速に泌乳量が増加するウシは、緩やかに増加するウシに比べて、早期排卵が起きにくい。 5)泌乳曲線の50%前後は飼養管理による変動要因であり、泌乳曲線の形状の遺伝率は0.11-0.30でやや低〜中程度であり、遺伝的改良は可能である。 6)4産次で淘汰されたウシのほうが5産次以上で淘汰されたウシより、3産次の泌乳ピークが早い。 7)繁殖性の低下は、分娩直後の泌乳量増加を支えるための粗飼料不足に端を発する粗濃比を無視した濃厚飼料多給から生じた生産病の連鎖の結果である。 以上の一連の結果から、以下の2つの目指すべき方向性が明らかになった。 a)泌乳曲線はピークへ向けて緩やかに増加することが、繁殖性と耐久性(産次)、そして経済性の決定的な要因となる。 b)緩やかに増加する泌乳曲線は、以下の2つの対応策で達成可能である。 ・粗飼料と濃厚飼料の給餌管理(現場での短期的戦略) ・遺伝的改良による「強い健康体質をもつ」新しい高泌乳牛の作出(政策的な長期的戦略)
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