研究概要 |
本研究の目的は、解析的曲線を取り扱える枠組みを計算幾何学に取り入れ、複雑度解析の理論と技法を作る事である。科学研究費の交付期間には、複数のテーマに関して、解析的曲線を扱う問題の解析と取り扱いを示し、国際学会での発表を通して研究の意義を啓蒙し、数学と計算理論からなる国内外での研究グループを設立することを目的とする。具体的には、中立地帯のあるボロノイ図(ゾーン図)で生じる解析曲線の計算複雑度解析、角度ボロノイ図で生じる解析曲線の性質の解析、最小周長重ね合わせで生じる非線形空間でのパラメタ制御などでの解析手法の研究と系統的な取り扱いを手がかりに、解析的手法を導入した計算幾何学の学問分野開拓を行う。 平成18年度には基礎理論の展開を行い、格式ある国際学会での研究発表をいった。萌芽研究の費用を利用してJAIST浅野哲夫教授とチェコ国チャールス大学マトウセク教授との共同研究を行い、多くの進展を得た。 具体的には、ゾーン図を描く時の基本コンポーネントとなる、2点間を3等分する曲線対の存在と一意性を示し、また解析的な性質を用いて、描画アルゴリズムの一次収束性を示した。また、ゾーン図の存在と一意性、その基本性質を示し、格式のある国際会議であるACM STOC, ACM-SIAM SODAで発表を行った。さらに日本OR学界RAMPシンポジウムでは、招待講演を行い、本萌芽テーマについての理論の概略を紹介した。
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