研究課題
生体認証は記憶の負荷や携帯のわずらわしさがなく、認証用情報の忘却や紛失の恐れもないため、非常に魅力的な本人認証技術であると言える。しかしながら、指紋であれば残留指紋、虹彩であれば写真などから、その生体情報そのものが非常に容易に漏洩するという重大な問題が存在する。さらに、生体情報は変更不可能であり、その漏洩が一生の問題となるので始末が悪い。よって、生体情報が漏洩しても絶対に複製ができず、また、訓練などにより習得することもできないような生体認証が必要である。そこで本研究では、これを解決する方式の一つとして、「生体の反射を利用した認証方式」を実現することを目的とする.生体反射は人間が自分で制御することのできない生体情報であり、これが不正者に明らかになったとしても、不正者が本人になりすますことは不可能である。本年度は、輻輳反射として知られている「両方の眼で1点の注視物をとらえる」という人間の反射を用い、これと眼球形状および両眼間距離の個人差を組み合わせることによって、生体反射型認証のプロトタイプを実装した。本方式は、非能動的な反射を利用している分、H18年度に研究を行った「盲点位置の個人差とサッカード反射を利用した生体反射型認証方式」よりもなりすまし耐性に優れ、暗室の使用が不要な分、H19年度に研究を行った「盲点位置の個人差と縮瞳反射を利用した生体反射型認証方式」よりも実用性に優れる。基礎実験を実施し、本方式の実現可能性を検証した。
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International Journal of Biometrics Vol. 1, No. 2
ページ: 173-190