研究概要 |
この研究の目的は,ヒューマノイド(人型ロボット)を知的ノードの一つとして扱えるネットワーク技術と,それを用いてヒューマノイドに高度な協調作業を行わせることである.特に,この研究で扱うヒューマノイドは二足歩行型(biped)であり,いわば,「歩くPC」である.また,この研究においては,人(オペレータ)もネットワーク内の遠隔ノードの一つとみなされる.さらに,人とbipedとは形は似ていても,動作能力と柔軟性は著しく異なる.従って,本研究における大きな特長は,「遠隔操作を可能とするネットワーク上でのbiped制御」と「人の動作をbipedへの動作指令とすること」である.特に後者においては,人(オペレータ)の動作を認識してそれを言語化する過程を含んでおり,機械独立性を達成できる.従って,その骨子については特許申請を行い,出願公開された.そして今年度の具体的な成果は,次のようにまとめられる. (1)ネットワーク面においては,bipedがオペレータの存在地から遠く離れた場所にいても,若干の遅れ時間内で指令を伝送できる構造を,ブラックボード通信を用いて実現した. (2)オペレータ動作を言語レベルに抽象化する機構としてベイジアンネットワークを採用し,これにより転倒なしにbipedに合目的動作を行わせることが可能となった. (3)その合目的動作を遂行する達成度を高めるために,オペレータ動作による監視モードに加えて,bipedがキュー(手がかり)を発見したときに自律モードに移行できる制御構造を用意した. 以上のようにこの萌芽研究は,提案の正しさを実証できる形で進んでいて,次年度(最終年度)に進める態勢ができている.
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