研究概要 |
本研究では,食事中の摂食者の状態を反映すると考えられる摂食パターンを一口単位の摂取(以下摂食動作とよぶ)のシーケンスであると捉え,これを厳密に記録する手法について検討と実験をおこなった.具体的には,RFIDタグを装着した食器(IDウエア)とセンサを装着したトレイ(センシングトレイ)を作成し,食器の移動をモニタリングするとともに,食器と料理の総重量とその変化パターンを精密に記録した.さらに,トレイ上の荷重分布変化を記録して摂食パターンを推定するためのセンサを試作した. 本年度の成果の概要は以下のとおりである. (1)センシング機能をもつ食事器具の開発 (i)ID機能をもつ食器とトレイによる間接摂食動作の推定 RFIDタグを埋め込んだ食器とRFID用アンテナを組み込んだトレイを試作し、ID識別と接近検出の機能を用いて、トレイからの食器類の上げ下ろし動作の検出を行った. (ii)トレイに荷重測定用ボードを装着し、トレイ上の食器群の総量を0.1g分解能でモニタリングする機能を加えた.当初は1g精度での食事記録をとることを考えていたが,0.1g分解能での記録が実現できた. (2)間接的摂食動作および直接摂食動作、食器群総重量の時系列記録データからの精密パターン推定 上記の(i),(ii)の記録データから、食事時間内の摂食パターンを、(1)どのタイミングで、(2)どのような食事順で、(3)どれだけの量ずつ、口腔内に入れたかを推定するアルゴリズムを確立した。検出もれの摂食動作や、重量変化の制約、および摂食の一般的制約から、精密パターン推定を復元する方法を検討した。 ID機能をもつ食器とセンサ機能をもつカトラリの近接パターンによる直接摂食動作の推定および圧力分布センサは,今年度は装置開発の途上であり,次年度に実験を行う予定である.
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