研究概要 |
平成18年度は,以下の実験を行い,エージェントから一方的に態度が表出された場合の外見と表現の関係について,実験的に検証した. 実験1:エージェントからの一方的な情報の表出 本実験の目的は,移動ロボットMindStormがsubtle expressionsである単純なビープ音により基本的態度を表出する場合と犬の外見をもつAIBOが複雑な行動で基本的態度を表出する場合で,被験者がどのようにその態度を理解するのかを観察することである.具体的には,被験者の前に置かれた各エージェントから以下のような情報を表出した. ・MindStormが表出する情報の表現 呈示時間と抑揚を変化させたビープ音を表出.使用するビープ音は,呈示時間と抑揚を変化させただけのビープ音が聞き手に対して「驚きなどの負の態度」「時間稼ぎなど中立の態度」「肯定など正の態度」を想起させることを報告した小松・長崎の研究に準拠したものを用いた. ・AIBOが表出する情報の表現 AIBO付属の「AIBOモーション」を表出する.このモーションはAIBOエンタテイメントプレイヤーに計80種類ほどが埋め込まれており,この中から「驚き・疑問」「時間稼ぎ・躊躇」「同意・肯定」というそれぞれの態度に合致するものを,各態度につき二つずつ(計6つ)選択し,被験者に表出した. 各エージェントから表出される6つの情報は,『この情報から「***」を感じましたか』という質問と対呈示される.この質問の,「***」の箇所には,「驚き・疑問」「時間稼ぎ・躊躇」「同意・肯定」の三つの態度のいずれがランダムに挿入される.実験結果としては,態度正答率,またその際に被験者がエージェントに対してどのような印象を持ったのかを回答するアンケートによる主観的指標の二つの指標を採取し,これらのエージェント間においてどのような差異が生じるのかを考察した.
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