研究概要 |
本研究では, 光波伝播現象を基礎としつつ, 従来の方法とは異なる新しい発想に基づいた高速性・高セキュリティ性を有する暗号化アルゴリズムを開発するとともに, それを計算コード化し, 新しい画像情報の暗号化/復号化法および電子透かし埋込み/出法を開発することを目的とする. その基礎は光波のフレネル回折現象に基つくが, の現象を新しい数学変換概念である非整数次フーリエ変換(fractional Fourier transfom)で表わす立場に立ち,その普遍性, 高拡張性を利用して, より高セキュリティ・高速処理可能な画像情報の暗号化/復号化アルゴリズムを提案し, 実用化を目指す. 平成20年度は, 非整数次フーリエ変換のコード化にあたって, 既存の公開コードで採用されているデータ座標の無次元化の必要性が問題となり,その意味を計算機シミュレーションで調べた. その結果, 「信号座標の無次元化は, 変換前後のデータの分解能のトレードオフを最適化して, 数値計算結果の誤差を最小にする. 」ことが分かり, フレネル回折計算に組み込む計算コードにこのアイディアを採用することにした, 今年度は, 最終年度であったが, この非整数次フーリエ変換に基づくフレネル変換コードとその2次元版の開発までが成果であった. すなわち, 年度当初の計画に挙げた「高秘匿性, 堅牢性, 高性を有する画像情報の新しい暗号化/復号化法および電子透かし埋込み/抽出法の開発」は時間の都合上, 到達できなかった.
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