研究課題/領域番号 |
18650054
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
中垣 俊之 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (70300887)
|
研究分担者 |
小林 亮 広島大学, 理学研究科, 教授 (60153657)
|
キーワード | 粘菌 / ネットワーク / 輸送ネットワーク / スタイナー問題 / 最短経路 / 生物計算 / 細胞ダイナミクス / 組合わせ最適化 |
研究概要 |
アメーバ生物である粘菌変形体は、何ら分化した器官を持たないので、環境のセンシング・判断・運動を体全体で渾然一体となって行う。感じる体、判断する体である。その体は高度に均質なサブシステムからなっている。したがって、均質な要素からなる系の集団運動から情報機能が創発するしくみを解明するにはまたとないモデル系である。この利点を最大限に活かして、粘菌の最適化アルゴリズムの抽出に取り組み、以下の成果を得た。 1)小さい餌場所を数個程度あちこちに配置すると粘菌はネットワーク形態を成して全ての餌場所にありついた。このネットワークは、全長が短くなるような性質を有しており、時々、真に最短なルートしめした。これにヒントを得て、一般的なスタイナー問題(平面上に任意の個数の点が任意の場所にある場合、全ての点を結ぶ最短経路を求める問題)を解くソルバーの開発をこころみた。限定的な場合では、きちんと解けるものができた。性能評価をくりかえし、このソルバーのバージョンアップを試みる予定である。 2)都市の地理的配置と同じように餌場所を配置し、粘菌の作る餌場所間ネットワークと現実の交通(道路や鉄道など)ネットワークを比較検討した。全長の最短性、任意の二つの餌場所間の連絡性、事故による管の断線に対する連結補償性という三つの評価基準では、ほぼ同等であった。粘菌のやり方にまねた、ネットワーク設計ソルバーの土台を構築できた。
|