研究概要 |
(1)ラット成体脂肪由来前駆細胞の単離と、神経堤幹細胞としての性質の検討 本研究における神経堤幹細胞ソースの候補組織として、ラット胎児真皮由来細胞(SKP細胞)などを含めた種々の比較検討を行い、現在のところ最も回収効率の良い皮下および内臓脂肪組織由来前駆細胞の解析を行っている。いわゆるadipose-derived stromal cells(ASC)をneurosphere形成培地で数日浮遊培養させてsphere様細胞塊を得た。このsphereは神経幹細胞マーカーnestin, musashi-1の発現を認めたほか(Nagase et al.2007)、神経堤マーカーであるSlug, P75などの発現、また血管内皮マーカーのCD31,Flk-1などの発現も認めた。 (2)ラット成体脂肪由来前駆細胞の神経系の分化誘導 上記sphereをコラーゲンコートシャーレ上で分化誘導を行い、神経系マーカー(neurofilament, Tuj-1など)、グリア系マーカー(S-100,CNPaseなど)の発現を確認した。 (3)ヒト成体脂肪由来前駆細胞のマウス胎児移植 上記と同様に回収したヒト脂肪由来sphereをラベルしてマウス全胚培養系に移植し、神経堤幹細胞様の遊走能を認めた(Nagase et al.2007)。 (4)その他 マウス胚頭部形態形成における神経堤幹細胞の動態とSonic hedgehog(Shh)シグナルの関連につき、をメラトニン投与全胚培養系にて検討した。また胎生期のShhシグナルの役割についての総説を執筆した。
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