研究課題/領域番号 |
18650093
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
寺島 俊雄 神戸大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20101892)
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研究分担者 |
勝山 裕 神戸大学, 医学系研究科, 助手 (10359862)
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キーワード | 福山型筋ジストロフィー / フクチン / キメラマウス / 髄膜 / 脳脊髄液脳関門 / 基底膜 / ラミニン / グリア性境界膜 |
研究概要 |
我が国に独特の疾患である福山型筋ジストロフィーでは、筋ジストロフィーに加えて福山型筋ジストロフィーにおける脳髄膜の破綻のメカニズムを明らかにする目的で、フクチン欠損マウス(大塚GEN研究所武田聖博士恵与)の髄膜を形態学的に詳細に調べた。胎生15日胚〜生後発育期の正常マウスおよびフクチン欠損マウスを左心室より4%パラフォルムアルデヒドを用いて灌流固定した。脳を取り出し、さらに2時間後固定し、シュクロース緩衝液中に脳を浸漬した。クリオスタットにより脳の凍結切片を作成して、アストログリアのマーカーであるGFAP抗体、基底膜のマーカーであるラミニン抗体、インテグリンα3、メロシン、αジストログリカン抗体等を用いてグリア性境界膜と基底膜を蛍光免疫組織化学的に染色した。その結果、キメラマウスでは部分的に大脳皮質を覆う髄膜の構造が微細に破砕し、ラミニン陽性産物が細かく分散することが明らかとなった。一方、脳の血管を覆う基底膜の構造はキメラマウスにおいても維持されていた。さらに、ニューロンのマーカーであるチューブリンβIII抗体、MAPII抗体を用いてフクチン欠損マウスの大脳皮質切片を免疫染色したところ、軟膜を越えてクモ膜下腔に遊走するニューロンが認められた。αジストログリカンは、細胞膜の外表面に存在する糖タンパク質で、膜貫通型のβジストログリカンと結合することにより細胞膜に固定する。αジストログリカンはo-マンノース型糖鎖の修飾を受けるが、この糖鎖を介して基底膜のラミニンと結合する。したがってフクチン欠損マウスの髄膜の破綻は、o-マンノース型糖鎖の修飾異常によりラミニンの構造が破壊し、その結果、髄膜が破綻すると思われる。
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