(1)loxP標的挿人用TGメタガ系統(アクセプター)の樹立:本年度は、昨年度にマイクロインジェクションにより作製を開始したG0メダカが4月後半から5月に成魚になるため、それらを野生型メダカと交配することによりスクリーニングを行い、生殖細胞系列を超えて遺伝するファウンダーを2系統(13系統、07系統)選別した。このTGはGAP-43プロモータにより初期胚より神経系にのみGFPを発現するようデザインされているため容易にTGであることを検出可能であった。F3までwild typeとの掛戻し交配により、最終的により発現の強い13系統を残すことにした。このF4受精卵にCre部位特異的組換え酵素蛋白質をマイクロインジェクションしたところ、元の神経系におけるGFPシグナルが、約1週間後から消失を始めたことを確認した。しかし、驚くべきことことに全ての細胞ではなく、一部の細胞ではGFPの発現が残っていた。この現象は現時点では説明ができないが、今後ゲノム構造の解析をすすめなければならない。(2)プロモーター交換用loxPベクターの構築:ゲノム中に存在するloxPサイトに任意のプロモーター(あるいは新規プロモーター候補)を挿入するために、プロモーターの両端にloxPを保有するベクター(pTx)を開発した。これによって、毎回プロモーターをクローニングするたびにloxPを付与する必要がなくなった。この自作のクローニングベクターは独自のTEXシステムによりXcmlあるいはAhdIにより1塩基突端を作成するものである。このベクターにメダカゲノムよりPCRによってamplifyしたプロモーター候補をTAクローニングした。挿入したプロモーターは骨格筋・心筋で特異的に作動するものとしてTitin-cap遺伝子の上流2.5kbを用いた。以上の一部について、日本分子生物学会において報告を行った。
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