研究概要 |
本研究を通じ、神経可塑性を担うシグナル分子が、シナプス蛋白複合体内で、あるいは単一スパインや単一シナプス近傍にて、どのように挙動するかを可視化・定量測定する新規技術を開発することを試みた. まず樹状突起スパインに存在するCaMKIIとその類縁キナーゼについて、スパインやミクロドメイン内相互作用を検出できるFRETプローブ作成を行った。その結果、脂質ラフト近傍におけるCLICK-III/CaMKIgammaの分子間相互作用やCaMKIIとArcのスパイン内相互作用を定量的に計測することに成功した(Takemoto-Kimura et al.改訂中).また、PSD局在が報告されているにCaMK類似キナーゼがCREB転写を抑制的に制御する機構を明らかにした(Ohmae et al.,J. Biol. Chem.2006).さらに、プルキンエ細胞スパインにおけるアクチン動態の可視化を実施し、これに基づき新たな制御因子の探索を実施した(Fuse et al.準備中). 共同研究においては、我々の開発したEGFP-actinプローブを用い、東京医科歯科大学岡部繁男研究室と共同で、アクチン線維と興奮性シナプス機能分子複合体の相互作用を単一スパインレベルで解析した。(Kuriu et al. J. Neurosci.,2006).一方、シナプスでのカルシウムチャンネル局在制御について京都大学工学部森泰生研究室と共同で探索し、RIM1がカルシウムチャンネルとの相互作用により、プレシナプスへ集積する機構を明らかにした(Kiyonaka et al. Nature Neurosci. inpress).
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