研究概要 |
1.靱帯組織構築用バイオリアクタの製作 靱帯様再生組織を構築するために,繰り返し引張負荷を作用させながら,細胞とコラーゲンゲル,足場材料からなる複合体を培養することのできる装置を作製した。培養チャンバー内に挿入されたチューブを介して培地交換を行いながら,3週間以上の培養が可能であった。 2.細胞の足場となる生分解性高分子メッシュの作製 直径約15μmのポリL乳酸(PLLA)からなるマルチフィラメントを編んだメッシュを作製した。さらに,熱処理とガンマ線照射を施し,力学的特性および培養環境下における分解性を調べた。短時間の熱処理はPLLへの分解速度には影響を及ぼさなかったが,強度を大きく低下させた。ガンマ線の照射線量の増加とともに引張強度が低下し分解速度が上昇した。 3.再生組織内の細胞の観察手法の確立 コラーゲンゲル内の線維芽細胞の細胞質を適切な濃度の蛍光色素CellTracker Greenで染色することによって,共焦点レーザ顕微鏡を用いた細胞形態の観察が可能であった。 4.再生組織の力学試験装置の製作 共焦点レーザ顕微鏡のステージ上に設置することができ,細胞とコラーゲンゲルから作製した再生組織に張力を作用させながら組織および蛍光染色した細胞の観察を行うことのできる装置の設計,製作を行っている。この装置はカンチレバーとレーザ変位計を組み合わせた荷重計測システムを持ち,試料把持用グリップを接続した電動リニアステージを駆動して再生組織に変位を与える。
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