心筋易誘導細胞の抽出:心筋易誘導細胞に発現している抗原(抗原Aと称する)に対するポリクローナル抗体を家兎で作製した。心筋誘導効率の低いヒト胎盤由来問葉系細胞をトリプシン処理にて単離したのち、抗体AにPEでラベルし、それをもとにMACSを行った。MACSにて得られたA抗原強陽性細胞と、陰性細胞を、マウス心筋細胞と共培養を行うことで心筋へ誘導した結果、抗体A陰性細胞に比して、強陽性細胞の心筋誘導効率の著明な改善が見られた。この結果から、この方法を用いて、易心筋誘導細胞を濃縮抽出することが可能となり、心筋誘導効率を改善することによって、移植時のホスト心筋の、ダメージを最小限に食い止めることができ、より多くの心筋誘導細胞を得ることが可能となると考えられた。機能評価:Wavemetrics社、Igor Proを用いてプログラミングを行い、Off line Video motion detectorを作製。同プログラムで、心筋収縮長をビデオフレームの時間解像度で解析することが可能となった。これらの細胞は視野内で全て同期現象が認められ、生理活性物質である、カフェイン、Verapamil(IcaLblocker)投与によって、収縮長の増減が観察され、ヒト間葉系細胞由来心筋細胞が、薬剤等によって生理学的な修飾を受けることを確認した。 またガラス微小電極を用いた活動電位記録を行うことで、電気的な特性を観察することに成功した。In vivo移植実験による機能評価:拒絶反応の少ないNude Ratで慢性心筋梗塞モデルを作製した。前述の予備実験により、In vitroで心筋誘導率の高いと思われる培養条件を観察した、我々はFactor-Xを培養中に投与することによって、心筋誘導効率の改善をin vitroで確認していた。そのため移植前2週間、Factor-Xをヒト骨髄間葉系幹細胞に投与することで、従来低い心筋誘導効率を飛躍的に格段させ。同時に移植後2週間で行った心臓超音波検査、及び血圧、更に心臓の繊維化の程度の改善を確認した。
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