平成18年度の実験では、まず、小動物でのFMD測定の技術を確立するために、麻酔下健常ウサギの大腿動脈近位部を圧迫し血流を5分間遮断した後に、14MHzの診断用超音波で大腿動脈径を測定することで、反応性充血後の一酸化窒素(NO)産生による内皮依存性のflow-mediated vasodilatation (FMD)を観察することから開始した。 その結果、小動物に対してもFMD測定は十分可能であることがわかったため、このモデルを用いて、低音圧超音波照射が血管拡張を同等な血管拡張をもたらすか検討した。 以前の研究で、45kHzの超音波を5分間照射することで、FMDが正常レベルに保たれている動脈においての血管拡張を観察したが、その動脈拡張効果は十分ではなかったことから、今回は20KHzの高音圧超音波の照射を試みた。照射は5分間と15分間で行ったが、本周波数においても十分な血管拡張は得られなかった。また、FMD測定も動物により再現性にばらつきがあることも明らかになった。 過去の論文におけるような血管拡張効果が得られない理由は明らかでないが、平成19年度では、より高い超音波圧は長時間の照射なのでの検討を行うことで、超音波照射によるFMDの実行可能性を検討していく予定である。
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