研究概要 |
大量の細胞を移植すればより大きな心機能改善を期待できるが,一時に大量に細胞を移植すると、グラフトに厚みが生じ酸素化が不十分となり死滅する。我々の研究で、一回の移植では0.2mmが限界である事がわかった。血管支配の無い移植片は初期には心嚢液で酸素化され、徐々に生じた新生血管によってその後栄養されるため、0.2mm以上の厚みがあると、血管新生を生じる前に組織が虚血にさらされ死滅すると想像される。本研究により吹き付けた細胞量、風速などを検討し、至適細胞移植量を算出出来た。今後さらに収縮能回復や同期性の観察、タネル法によるアポトーシスの観察を行う事によって、本方法での移植至適条件を選定する。 国内大手内視鏡メーカーオリンパス工業と連携をとって研究を進めている。現在、心嚢腔鏡としての特許申請を既に行い、プロトタイプ作製を始めている。また内視鏡は操作性心嚢内での視野、安全性が要求されるため、大型実験動物での基礎的研究も行っている。内視鏡の操作性をあげるためにはファイバーの硬度は高く、トルクも強い事が要求されるが、一方、硬度の高いファイバーは、心臓表面・冠動脈等を傷付け、心臓を圧迫し手術中の血行動態の変化を生じる可能性がある。そのため、心電図・血圧等をモニターしながら各種ファイバープロトタイプを用いファイバー構造を決定する必要がある。多くのセンサーや移植用ルートをルーメンに確保するためには直径の大きなファイバーが有利だが、逆に心臓を圧迫し血行動態を悪化させると推測されるため、今後、口径の許容範囲を検討してゆく。それらデーターをもとに内視鏡メーカーにフィードバックを行い、製品のプロトタイプを共同で考案する。
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