研究概要 |
動物の心筋梗塞モデルの心臓へ間葉系幹細胞を移植する際に生着効率を改善し、低侵襲で反復移植可能な細胞移植器具・手技の開発を目指して研究を行った。具体的に、臨床で経験のある心嚢穿刺技術と内視鏡技術を応用する事によって、低侵襲で反復移植可能な移植デバイス作製を立案した。国内大手内視鏡メーカーと連携をとってデバイスの開発を進め、現在までにブタを始めとした大型動物において、低侵襲で安全、かつ血行動態にほとんど影響を与えずに心嚢内に内視鏡を挿入し、心嚢内を立体的かつ詳細に観察できることを確認し、第73回日本循環器病学会において報告した。またIn vitroにおいて易心筋誘導能力を有するヒト間葉系幹細胞株を用いてNude Rat心筋梗塞モデルの心臓表面に移植し、Nude Ratの心臓表面の上でほぼ100%の間葉系幹細胞が、免疫組織学的解析にてsarcomeric actinおよびcardiac troponin-Iの陽性で明瞭な横紋構造を有する再生心筋細胞になっている事を確認した。さらにNude Rat心筋梗塞モデル上に細胞を噴霧し、移植組織とホスト心筋との電気的な結合を高速度光マッピングシステム(MICAMO1)で検討した。移植する細胞を、GFP遺伝子を封入したAdenovirusを感染させ、GFP蛍光を用いて、共焦点レーザー顕微鏡で観察し、具体的な組織への生着率の算定を行った。心筋への分化誘導を正確に評価するために、心筋特異的なアクチン, cardiac troponin-I抗体にて免疫染色を行って組織学的な検討を行った。
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