研究概要 |
シリコン製のカフを高研株式会社に依頼し、カフの直径2.5cm,3cm,3.5cm,4cmの4種類、カフの厚みを0.15mm,0.2mm,0.25mmの3種類、カフの形状を円形、楕円形、台形の3種類で、3×4×3=36種類のカフを具備したボイストラックを作製した。試作したボイストラックをモデル肺(MI Instruments; Grand Rapids, MI)と人工呼吸器の間にセットしたモデル気管に装着し基礎実験を行った。吸気時(人工呼吸器が空気を送り込む時)にカフの隙間から空気漏れがなく、呼気時カフが充分に縮む、至適なカフの形状、サイズ、厚さ、を検討した。モデル肺のcompliance(肺の硬さ)は10ml/cmH_2O(重傷肺の硬さ)から50ml/cmH_2O(正常肺の硬さ)の間で5ml/cmH_2Oずつ区切り、9段階のcomplianceで設定した。 Positive end expiratory pressure(PEEP)を0,3,5,7cmE20の4段階に設定した。それぞれの肺のcompliance、PEEPの条件の組み合わせ、すなわち9×4=36通りの条件下で36種類のカフを有する気管切開チューブでモデル肺の人工呼吸を行った。集積したデータはモデル肺の換気量、吸気時に気管切開チューブとモデル気管の隙間から漏れる空気量(人工呼吸器の送気量-モデル肺の換気量)、呼気時に気管切開チューブとモデル気管の隙間から漏れる空気量(モデル肺の換気量-人工呼吸器に戻る空気の量)である。この実験より、カフの形状では円形、楕円形、台形型の間に吸気時に漏れる空気量は約10%で差はなかったが、呼気時に漏れる空気量は円形が40%、楕円形、台形型の25-30%より有意に多い結果を得た。すなわちカフの形状は円形であることが声を最も出せる可能性が高いことが判明した。
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