研究概要 |
【目的】回復期リハビリテーション病棟(回復期リハ病棟)における,脳卒中リハビリテーションの費用効用分析(CUA)をADL自立度別に比較検討することを目的とする.【対象と方法】回復期リハ病棟の脳卒中患者107名を対象とした.EuroQo1 (EQ-5D)を用いてリハビリテーション(リハ)開始時及び終了時に効用値を測定し,増分の効用値と質調整生存年(quality-adjusted life-years:QALYs)算出した.費用は入院中の医療費を診療報酬明細書から積算した.ADL自立度を開始時Barthel Index(BI)得点により60点以上(A群),40点〜60点未満(B群),40点未満(C群)に区分した.【結果】A群46名,B群29名,C群32名であった.平均年齢はA群から順に69.5歳,73.0歳,72.8歳で,在棟日数は,50.4日,78.1日,91.7日であった.リハ開始時の平均効用値はA群から順に0.651,0.493,0.342,終了時は0.721,0.649,0.466であった.医療費はC群が最も高く,A群が低かった.回復期リハ在棟中の増分QALYsはA群0.0048QALY,B群0.0156QALY,C群0.0156でB群が最も増加した。1QALY増分に必要な費用は,B群が最も少なく,A群が最も多かった.【結論】ADL自立度の低い群が高い群に比べ回復期リハ病棟の在棟日数が長く,医療費は多かった。しかし,ADL自立度の低い群の効用値とQALYsの増分が大きく,1QALY増分に必要な費用が少ないことが示唆された。
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