研究概要 |
1.研究代表者らがこれまでに開発した水泳力学シミュレータと,市販の筋骨格モデル解析ソルバーとの統合シミュレータを開発した.具体的にはまず,水泳力学シミュレータの人体寸法データを,筋骨格モデル解析ソルバーの人体寸法データに変換するスケーリングアルゴリズムを構築した.次に水泳力学シミュレータの関節運動データを,筋骨格モデル解析ソルバーのデータに変換するアルゴリズムを構築した.そして,水泳力学シミュレータより得られる,全身に働く流体力を筋骨格モデル解析ソルバーに代入し,水泳時の筋骨格シミュレーションを,クロール,平泳ぎ,背泳ぎ,バタフライの4泳法すべてについて行なった.さらに,上記のデータ変換アルゴリズムを自動化し,水泳力学シミュレータと筋骨格モデル解析ソルバーの統合化も実現した. 2.先行研究でのクロール泳時の筋電測定結果とシミュレーション結果とを比較したところ,定性的に良い一致が見られ,本シミュレータの定性的妥当性が確認された. 3.筋骨格モデル解析とは別個に,水泳力学シミュレータにGA(遺伝的アルゴリズム)を組み込み,試験的な最適化計算を行なった.最適化の目的関数としては泳速度と推進効率とし,クロール泳動作の一部(水中をかいている間のみ)を最適化の対象とした.また最適化の制約条件としては,筋骨格モデル解析のかわりに,単純に関節トルクの上限を設けた.最適化計算の結果,従来にない特徴を有する泳フォームが得られたが,本結果の詳細な考察および検証は次年度以降の課題である. 4.以上までの内容を3篇の国内会議論文にまとめ,講演発表を行なった.
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