研究概要 |
筋力トレーニングの初期の筋力の増加は主に神経系因子の改善によるものであることが示されている.しかしながら,トレーニングを開始してどのくらいの期間で筋力の有意な増加が生じるのか,またそれが神経系の改善によるものであるのかどうかについては,十分に明らかにされていない,研究代表者の先行研究において,2週間で9日間の角速度120度/秒での等速性膝伸展による筋力トレーニングの結果,測定に用いて比較的広範囲の魚速度(0度/秒から240度/秒)の筋力において有意な増加が認められた.しかしながら,トレーニング中の記録を見てみると,トレーニングを開始しておよそ4日目に筋力の増加がほぼプラトーに達していた.このことは筋力トレーニングのごく初期に先に見られたような筋力変化が生じていることを示唆している.このような研究の背景のもと,本研究では4日間のトレーニングが等速性膝伸展筋力に及ぼす影響について検討した.被検者は成人男性15名でトレーニング群8名とコントロール群7名にランダムに分けた.トレーニングは角速度120度/秒の最大努力での膝伸展運動を一日当たり10回.7セット(セット間に1分休息)行うものであった.トレーニングの前後に角速度0,60,120,240度/秒での等速性膝伸展筋力を測定した.その結果,両群においていずれの角速度の筋力でも有意な変化は認められなかった.これはおそらく被検者のほとんどが体育専攻学生である,普段から比較的活動レベルが高いため,トレーニング効果が出にくかったものと思われる.来年度は被検者の選択を十分に考慮して実験を行うことを考えている.
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