研究課題
デュシェンヌ型筋ジストロフィー症は、男児3500人に1人の割合で見られる遺伝性筋疾患であるが、膜タンパク質であるジストロフィンの遺伝子変異により、骨格筋および心筋における進行性の弱化が見られる。そこで、損傷と再生を繰り返すデュシェンヌ型筋ジストロフィー症のモデルであるmdxマウスの骨格筋を利用した。また炎症反応の影響を追求する実験では、炎症性サイトカインであるインターロイキン6(IL-6)の受容体ブロックやマクロファージコロニー刺激因子欠損マウス(op/op)も使用して、筋再生機構の解明に迫った。筋衛星細胞は筋線維膜下に存在し、筋の発育や負荷の増大に伴う肥大、および筋損傷からの再生時における核の形成に非常に重要な役割を果たす。逆に抗重力筋活動抑制は、衛星細胞数および活性を低下させる。その結果誘発される筋核数の減少に起因してタンパク質合成が抑制されるために、筋萎縮が起こるという示唆もある。そこで我々は、筋の可塑機構における衛星細胞の役割に注目した研究を実施した。さらに、機械的負荷等に対する衛星細胞の反応に、マクロファージやIL-6が如何なる役割を果たすのかも追求した。その結果、腱切断および神経切除により機械的負荷および神経活動を除去した場合、mdxマウス骨格筋の壊死からの再生が促進されなかったのみならず、深刻な筋線維萎縮を招いた、また、機械的負荷そのものが、骨格筋におけるタンパク質合成を促進する生理的刺激となっていることも分かった。肥大には、リボゾームタンパク質S6および27kD熱ショックタンパク質のリン酸化が重要な因子であり、個々の核に存在する核小体数の増加も伴うという結果も得られた。
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Jpn. J. Aerosp. Environ. Med. (in press)
Proceedings for the international symposium on space Medicine, Sapporo (in press)
Am. J. Physiol. Cell Physiol. (in press)